技術コラム

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近年、非球面や自由曲面を高精度かつ効率的に加工するニーズが増えています。高度な光学性能を求められる場面が多くなり、複雑な形状を精密かつ再現性高く仕上げることが重要視されています。
そうした中で注目されているのが5軸CNC研磨機です。多軸制御の利点を活用し、従来の球面加工から一歩進んだ非球面・自由曲面の加工を実現することが可能です。
例えばSatisloh社の研磨機は、高い再現性や信頼性が世界的に評価されています。本記事では、非球面・自由曲面加工の基礎知識や5軸CNC研磨機の選び方について、具体例を交えながら詳しく解説します。

非球面・自由曲面加工の基礎知識

まずは、非球面と自由曲面がなぜ光学分野で重要視されるのかを押さえておきましょう。
高度化する光学部品の多くは、従来の球面では実現しにくい性能を非球面や自由曲面によって実現しています。例えば、スマートフォンのカメラや高精細望遠鏡などでは、よりコンパクトかつ高画質を求める傾向が強まり、曲面形状が複雑になりがちです。これらの要件に応えるためには、設計に合わせた高度な加工技術と、極めて厳密な精度管理が不可欠です。

非球面と自由曲面の違いと光学性能への影響

非球面とは、ひとつの中心を持つ球とは異なる曲率を持つ面のことを指します。これによって球面収差などの光学的な歪みを補正し、よりクリアな画像や光学特性を実現できます。一方、自由曲面は特定の回転軸や中心からも外れた複雑な形状で、光の反射や屈折をより厳密に制御することが可能です。こうした多様な形状を高精度に加工するためには、専用の制御アルゴリズムや測定技術が不可欠になります。

精密光学部品に求められる加工精度と品質管理

光学部品のわずかな誤差は、最終的な画質やパフォーマンスに大きく響きます。そのため、μm単位、時にはナノレベルの精度が求められ、これを実現するためには工具の摩耗や加工条件などを徹底的に管理する必要があります。さらに製品検査には、3Dスキャナや干渉計などを組み合わせ、製品全体の品質を総合的に検証する体制が重要となります。

5軸CNC研磨機の特徴とメリット

多軸制御による高精度な加工は、非球面・自由曲面の製造を大きく進化させました。
5軸CNC研磨機では、複数の回転軸や移動軸を同時に制御し、ツールパスや工具の角度を正確に調整できます。これによって、従来の単軸や2軸方式では難しかった曲面形状をスムーズに加工できるのが特徴です。さらに、高速加工と制振技術が組み合わさることで、加工時間の短縮と高い表面精度を両立しやすくなっている点も大きなメリットといえます。

高い再現性と高い信頼性を実現する技術

例えばSatisloh社の装置では、多軸制御を活かしたADAPTなどの独自アルゴリズムを採用し、工具摩耗による誤差を自動で補正します。例えばSPS-200やGI-APといったモデルは、水冷式直動リニア軸とポリマーコンクリートベースを組み合わせることで熱変位を抑え、高い再現性と安定した品質を実現しています。これにより、小ロットから量産まで幅広い生産要件に柔軟に対応可能です。

ソフトウェアの操作性と加工効率の向上

5軸CNC研磨機を最大限に活用するには、操作が複雑にならないためのソフトウェアが欠かせません。Satisloh社のBaSySソフトウェアはガイド付きインターフェースを備え、初心者から熟練技術者まで短時間でセットアップが行える設計になっています。結果として段取り時間を大幅に短縮し、多品種少量生産でも効率的に生産ラインを稼働させることが可能です。

今後の技術トレンドと導入メリットの拡大

研磨技術の領域では、AIや自動化技術のさらなる発展が見込まれており、リアルタイムで加工条件を最適化するシステムなども登場する可能性があります。これにより、初心者でも複雑な曲面加工を安定して行える環境が整い、導入メリットはますます拡大していくでしょう。また、関連する検査機器や測定システムとの連動が進むことで、より短い時間で品質保証を行える時代も近づいています。こうした技術トレンドを踏まえ、将来的なアップグレードや生産体制の拡大を見据えて機種選定することが重要です。

まとめ・総括:5軸CNC研磨機で非球面・自由曲面加工を進化させる

5軸CNC研磨機の導入は、精密光学部品の高付加価値化に大きく貢献すると期待されています。
非球面や自由曲面に対応する研磨機は、これからの光学開発や製造において不可欠な存在となりつつあります。特にSatisloh製品は、高い再現性や簡単ソフトウェアなど、実際の生産現場での使い勝手と品質を両立している点が注目されています。導入にあたっては、サイズやスペックだけにとらわれず、長期的にサポートを受けながら安定運用できる仕組みを整えることが重要でしょう。

satisloh社レンズ・プリズム加工設備のご紹介

独satisloh社の歴史は100年を超え、常に精密光学業界のトップを走り続けてまいりました。光学部品に要求される精度・品質が厳しくなる中、必要不可欠な装置として、年々新たなお客様が導入されています。
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