技術コラム

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光学レンズの片面研磨におけるワーク固定の課題と解決策

光学レンズの研磨加工では、どれほど精密な装置を使っていても、ワーク固定の精度が十分でないと期待する品質を得ることは難しいといわれています。特に片面研磨では、固定が少しでもずれると研磨面に大きな影響を及ぼし、後工程にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。
ワークが固定される際の誤差や糊残りは、研磨工程だけでなく洗浄や仕上げにも負担を生じさせ、作業時間がかかる原因となりがちです。その結果、生産性が落ちるだけでなく、不良品の発生リスクも高まります。
そこで本記事では、固定ズレや糊残り・ヤニ貼りを防ぐテクニック、さらに近年注目される仮固定フィルムdopaのWAMP FILMの活用方法などを詳しく取り上げ、光学レンズの片面研磨における作業効率と品質向上の鍵について解説します。

光学レンズ加工における正確なワーク固定の重要性

わずかなズレも大きな誤差につながる光学レンズの研磨加工においては、ワークの正確な固定が品質を左右する大きな鍵となります。
光学レンズの片面研磨では、レンズ片面の平坦度や形状を一定に仕上げることが求められます。固定位置が少しでもずれてしまうと、均一な研磨ができず製品ごとのばらつきが増える恐れがあります。
固定が不十分だと、加工中にワークが微妙に動いたり粘着材がずれたりして、研磨面の精度を下げる要因となります。これにより追加の研磨作業が必要になり、生産性が大きく低下してしまうのです。
自動化装置を導入していても、最終的にワークを正しく保持できなければ精度は向上しません。したがって、安定して高品質のレンズを製造するためには、まずワーク固定の仕組みや材料選びが非常に重要と言えます。

固定ズレが発生する主な原因

固定ズレは取り付け金具の調整不足や、ワークと固定具の間に異物がある場合など、複数の原因によって引き起こされます。粘着剤を使う場合、表面処理や温度管理が適切でないと、接着力が十分に発揮されないことも要因の一つです。また、レンズの形状や薄さによっては、固定具の設計そのものが合わない場合があります。たとえば曲面が大きいレンズに平らな保持具を使うと、局部的な圧力がかかりやすくなり、固定面全体が均一に保持されにくいのです。こうした問題を防ぐには、作業環境の温度・湿度管理や保持具の形状設計、さらに接着材の選定を含めてトータルで対策を講じる必要があります。

糊残り・ヤニ貼りを防ぐテクニック

従来の糊や接着剤を使用する場合、剥離後の糊残りやヤニ貼りが作業者の悩みの種でした。研磨後のレンズ表面に粘着物が付着すると、洗浄工程にかかる時間がかかるうえ、そのまま残留すれば製品不良につながります。
糊残りを最小限に抑えるためには、使用する接着剤の種類を見直すことが大切です。例えば、揮発性の溶剤系接着剤なら粘度が低く、一定の温度管理で硬化速度も調整しやすいため、剥がす際の負担を減らしやすくなります。さらに、剥離前に洗浄液や専用溶剤を使用し、接着部分をあらかじめ柔らかくしておく方法も効果的です。これらの基本的なケアを行うことで、糊残りやヤニ貼りのリスクを軽減でき、結果的に研磨面の品質向上につながります。

固定ズレや糊残りによる作業時間ロスを防ぐためのポイント

研磨工程において固定ズレや糊残りが発生すると、再作業やメンテナンスの時間がかかり、生産性が低下します。これらを防ぐための具体的な対策を解説します。
固定調整に時間がかかると、品質は上がったとしてもトータルの作業効率は下がってしまいます。とくに複数のレンズを同時に加工する際、繰り返しの調整時間が増えると納期にも影響をおよぼします。
適切な接着方法や素材を選定し、作業手順を定型化することで、工程ごとの無駄な時間を削減できます。工程標準を定めて作業を行うだけでなく、接着材の塗布量や乾燥時間などもマニュアル化しておくと効果的です。
結果として固定ズレや糊残りに起因するトラブルが減少し、研磨工程から洗浄、検査まで一連のプロセスをスムーズに進められます。これによって安定した品質を維持しつつ、余計なコストと時間のロスを低減できるでしょう。

洗浄とクリーニング工程の効率化

研磨後のレンズには微細な研磨剤や接着材の残留物が残りやすく、これらを効果的に除去できないと品質に影響します。専用の洗浄装置や、環境に合わせた洗浄液を使うことが重要です。
効率化のポイントとしては、洗浄前に接着剤が固まらないように適切な温度で保持したり、レンズ表面に研磨剤が残らないようにエアブローを併用するなどの対策が挙げられます。
クリーニング工程を事前に最適化しておけば、糊残りや固定ズレが生じても後処理が短縮できます。結果的に総合的な作業時間の短縮だけでなく、レンズ品質の安定にもつながると考えられます。

効率化を目指す仮固定フィルムの選び方:dopa WAMP FILM活用のポイント

近年では糊を用いずに貼り付けが可能な仮固定フィルムが注目されており、その中でも特に作業効率と品質を重視したdopaが注目を集めています。
仮固定フィルムを導入することで、従来の接着剤を使用した際に発生する糊残りやヤニ貼りを大幅に削減できます。その結果、クリーニングや再作業に費やしていた時間を圧縮できるのです。
特に光学レンズ分野では、研磨面のわずかな傷や汚れが製品品質に大きく影響するため、フィルムの安定した固定力と簡易な剥離性が評価されています。複数の製品を連続して加工する場合でも、迅速に貼り替えができるため効率的です。dopaのWAMP FILMのようなフィルムは、剥がすときに糊が残らない設計が特徴であり、精密加工においては欠かせない存在となりつつあります。今後さらなる改良が期待できる分野でもあるため、定期的に製品のアップデート情報を収集しておくとよいでしょう。

まとめ|安定したワーク固定と片面研磨の実現に向けて

光学レンズの片面研磨においては、固定ズレや糊残りといった従来の課題を克服する方法を知っておくことが不可欠です。適切な固定技術と資材を選ぶことで、製品品質と生産効率の向上が期待できます。
片面研磨の工程では、まずワーク固定の正確さと、固定後の糊残り対策がカギを握ります。従来の接着剤を用いた方法でも工夫次第で品質維持は可能ですが、仮固定フィルムを導入することでさらなる効率化が期待できます。固定ズレによる誤差を最小限に抑えるためには、治具の形状や温度管理、そして粘着材の選定や貼り付け手順の徹底が重要です。作業環境を含めた総合的な対策を実施すると同時に、メンテナンスや洗浄の工程にも力を入れましょう。最後に、技術は常に進歩しており、より優れた仮固定フィルムや接着材が開発されています。最新の情報をキャッチアップしながら、自社の工程に合った最適な方法を選び続けることが、安定した品質と効率化への近道です。従来の接着剤を用いた方法でも工夫次第で品質維持は可能ですが、仮固定フィルム:dopa WAMP FILMを導入することでさらなる効率化が期待できます。